勤行(ごんぎょう)とは、仏前において読経(どっきょう)唱題(しょうだい)することをいいます。 本宗の勤行は、御本尊に向かって、法華経の『方便品(ほうべんぽん)』と『寿量品(じゅりょうほん)』を読誦(どくじゅ)し、「南無妙法蓮華経」の題目を唱えます。
朝は五座、夕は三座を行います。
初座・・・・正法の信仰者を守護(しゅご)する諸天善神(しょてんぜんじん)に法味(ほうみ)を捧(ささ)げ、威光(いこう)の倍増を祈念します。
二座・・・・本門戒壇の大御本尊様を讃歎(さんだん)し、報恩感謝をします。
三座・・・・宗祖日蓮大聖人、第二祖日興上人、第三祖日目上人をはじめとする御歴代上人へ報恩感謝をします。
四座・・・・広宣流布の御祈念と、個人の諸祈念を行います。
五座・・・・先祖や有縁(うえん)の精霊(しょうりょう)に対して、追善(ついぜん)回向(えこう)を行います。
唱題は、功徳の源(みなもと)となる根本の修行ですから「正行(しょうぎょう)」といい、『方便品』と『寿量品』を読誦することは、題目の意義と功徳を助けあらわすものですから「助行(じょぎょう)」といいます。
勤行は、私たちにとって信心の基盤となる修行です。
総本山第26世日寛(にちかん)上人は、
「この御本尊には広大深遠(こうだいじんのん)の不思議な力がそなわっている。したがって、この御本尊に向かって南無妙法蓮華経と唱えるならば、祈りを成就(じょうじゅ)し、過去の罪を消し去り、福徳を積み、真理を我が身にあらわすことができる」(意訳・観心本尊抄文段)
と仰せです。
信心の目的である成仏という最高の境界(きょうがい)は、御本尊を深く信ずる心と、御本尊に向かって勤行・唱題を実践することによって築かれます。
朝夕の勤行は、幸福な人生を確立し、希望に満ちた未来を切り開いていく源泉となるものですから、毎日欠かさず行いましょう。
朝の勤行は、妙法の功徳に浴した有意義な一日を過ごすことができるように念じて行います。夕方の勤行は、御本尊の加護により、一日を終えたことへの感謝の心をもって行います。
勤行は、信仰するうえで重要な修行ですから、姿勢を正し、敬虔(けいけん)な気持ちで臨(のぞ)みましょう。
勤行の際には、珠数(じゅず)を手にかけ、経本を見て一字一句正確に読みます。また、自分勝手なアクセントをつけて読経・唱題したり、むやみに珠数を揉(も)んだりしないように気をつけましょう。
唱題は、胸の前で自然な形で合掌(がっしょう)し、できるだけ御本尊の「妙」の文字を拝して行います。勤行の時の唱題は、回数や時間にきまりはありませんが、心ゆくまで行いたいものです。
また、勤行以外に、折伏や諸願の成就などの目標を持って「唱題行」を行うこともあります。
日寛上人は、唱題を重ねる意義について、
「一遍二遍、南無妙法蓮華経と唱えるだけでは、仏になるようには思えないだろうが、一滴の水が集まって海となり、一歩一歩の積み重ねが千里の道を行くように、日々の唱題の積み重ねが大切である」(意訳・寿量品談義)
と仰せです。
私たちは、常に唱題を心がけていきましょう。
正しい勤行の仕方を身につけるためには、寺院の勤行に参加したり、同信の人いっしょに行うとよいでしょう。 |